コーヒーの歴史

普段、プライベートや職場で何気なく飲んでいる珈琲。そんな珈琲も、昔ではなんと秘薬として扱われていたようです。

コーヒーは秘薬?

10世紀初期アラビアの医者が残した記憶には、バンと呼ばれる乾燥したした珈琲の実を砕いて水に浸して煎じ、バンガムと呼んで医薬にしていたと書かれています。その約100年後、医学者で哲学者であったアビセンナが、バンとバンカムについて、やはり『薬用』だと書き残しています。

その後、長い間珈琲はイスラム教の寺院の中だけに、門外不出の秘薬として伝えられていきます。夜通し行う宗教儀式の前に眠気を払う霊薬として飲用していました。

焙煎のきっかけ

6世紀頃にイエメン(アラビア半島)に伝わったとされる珈琲ですが、当時は葉っぱや豆を煮だして飲用されていたようです。

 

生豆を煎って飲むようになったのは恐らく13世紀頃からと云われています。


宗教的な秘薬とされていた為、一般庶民へ開放されることは決してなく、それゆえ他国へ持ち出すことも出来ず万が一にも国外へ流出しないように、生豆を火で焙って、種から芽が出ないように芽止めをしたところ、、、


なんと焙った珈琲豆からは、なんとも芳しい香りがしています。(珈琲豆は煎ることにより香気成分が3倍以上に増える作用があるため)


この魅力的な香りは、逆にイスラム教では禁止されている『アルコール』に準ずるものと考えられイスラム教の聖地メッカでは、“大衆を堕落させる毒”として珈琲の飲料を禁じ、焼き捨てを命じた事件も起きています。

誰もが飲める存在に

15世紀になり一般民衆に珈琲の飲用を認めるファトワー(法判断)が出され初めて、一般信者にその存在が知らされると、寺院の周りは珈琲の露店で溢れかえり人々はお祈りの前に珈琲を儀式的に飲むようになりました。

 

これ以降、イスラム限定だった珈琲はアラビア半島から世界へと広がっていき、北進した珈琲はトルコ(オスマントルコ)の地で初めて現在のような『嗜好品』として楽しまれていたと云われています。

カフェの始まりは、、

首都イスタンブールには『コーヒー・ハウス(カフヴェハーネ)』が開かれ、現在のカフェのような“サードプレイス(都市生活者の第3の居場所)”として楽しまれていたようです。


このような珈琲事情を知ってから改めて珈琲を飲むと、ありふれた存在だった珈琲への意識が変わってきそうですね。