開発者・製造者

不思議なものづくり職人

【コーヒーのつぼ】を開発された方は、奈良県生駒市在住の『ものづくり職人』である西村汰三郎さん(上記写真)。いつも面白いこと(ギャグ)を連発して、周りの方々を笑わせているような風変わりなおじさんです。

コーヒー焙煎との出逢い

そんな西村さんがコーヒー焙煎の魅力と出会ったのは約10年ほど前になります。焙烙型のコーヒー焙煎具を手で振って焙煎するワークショップに参加され、そこで本物のコーヒーの味を知り、陶器製の焙烙型焙煎具を購入されたことがきっかけのようです。きっかけとなったコーヒーショップのリンクを張り付けておきますので、宜しければ下記の画像をクリックしてみて下さい。

焙煎に魅了される日々

独学で焙煎を学び試行錯誤する中で、熱風焙煎の場合ではコーヒーの香りが飛びやすいのと煙が窯の中にこもり、燻し臭が豆についてしまう。又、直火の場合では、焙煎時に豆の皮(チャフ)が燃えてススがついてしまう。さらに、両者ともに豆の外側から焦げていくので、芯まで煎り上げるためには理想の時間より少し長めに焙煎するしかないというの問題点に気付きました。

<熱風焙煎の仕組み図>

<熱風焙煎の仕組み図>

完成までの道のり

それから毎日、コーヒーについて深く調べたり焙煎するにあたり、コーヒーの魅力に感化され、自ら焙煎機の開発に取り組み始めました。元々、日本ペイント(株)さんの下請けで機械などの製造開発を行っていた西村さんは、メカ類や配線などを予め極めておられたこともあり、図面から描き始め、様々な焙煎方法を試し、試作し、潰し、といったことを繰り返しながら、10年の歳月を経て完成させた結晶が【コーヒーのつぼ】の陶器製壺窯焙煎機です。

アイデアの詰まった壺窯

壺窯の角度や形状により、煙や燻し臭は上手く外へ放出でき、壺窯の熱は逃がしにくい構造になっています。そして、陶器を採用することにより遠赤効果で生豆の芯までふっくらと煎り上げることが出来ます。たまご型の形状は、他の形よりも強度がでて割れにくく、楕円形のコーヒー豆も立体によく混ざり、煎りムラを最小限に抑えることを可能にしました。西村さんは、携帯もパソコンも持たない方なので、どのように情報をキャッチし、このような形状に仕上げられたのかがとても不思議です。昔ながらの足と知恵を使うものづくりスタイルから開発されたこの製品は、温もりを感じ、人々を魅了する【なにか】が製品に入り込んでいるような気がします。

五感で感じる焙煎機

デザイン性だけでも楽しめる壺窯ですが、焙煎中の柔らかく甘い香りが漂う空間で、壺窯が奏でる陶器と生豆が触れあう音やコーヒー豆がハゼる音が響く空間で頂くコーヒーは味わい深く、なにより遽しい日常から一息つける贅沢な空間を体感して頂けると思います。

開発者の思いを継承

私と西村さんとの出逢いは、5年ほど前に西村さんにコーヒーのワークショップを勧めた方と知り合い、奈良の面白い方を紹介してあげると誘って頂いたのがきっかけでした。偶然にもその日は私の誕生日でした。偶然というより必然性を感じたことが、このお仕事に関わらせてもらうことになった大きなきっかけです。西村さんは同じものは作らない主義を持たれていて、この焙煎機の製造を継いでくれる方を探していたようです。その時たまたまタイミング良く出逢った私が製造を引き継ぐこととなりました。私は、製造経験やコーヒーに関する知識は全く無知だったのですが、昔からものづくりや製造に携わってみたかったこともあり、この機会に夢に向かって歩んでみようと決意しました。それから紆余曲折しながらも、コーヒーのことを調べたり、この焙煎機でコーヒーを飲んだり、提供したりしながら感覚的に学んでいる最中です。

製品の営業で、コーヒー業界のプロや焙煎業務に長く携わってこられた方に製品を見せたところ、窯の温度が焙煎に適した温度まで本当に上がるのか、ちゃんと焙煎出来るのか、と様々な疑問点を投げかけられましたが、実演させて頂いたところ、窯の温度はしっかり上昇し、芯までムラなく焙煎出来ていることに驚かれていました。ミニマムな製品ではありますが、デザイン性と機能性もばっちりの西村さんの焙煎機は、本当に素敵な製品だと実感します。コーヒーは本当に奥深く面白いものだと感じます。これからもっとコーヒーの魅力を学び、沢山の方々に知識と製品をお届けしていけるように取り組んで参ります。

この焙煎機を少しでも多くの方に使って頂き、新鮮で美味しい本物のコーヒーを日々の生活の一部に取り入れて頂けたら幸いです。

コーヒーのつぼ